NS水溶性天然酵母グルカン Natural Soluble Yeast Beta-Glucan

21世紀に入ってから、科学者たちは、生物における多糖の役割がますます重要になってきており、そしていくつかの分野、特に生物医学においてはタンパク質の役割を超えていることを発見した。β-グルカンは非常に重要で、細菌、真菌および高等植物に広く見られる多糖類であり、安定した構造と強い生物活性を持っている。その由来に基づけば、酵母グルカン、エンバクグルカン、ハダカムギグルカン、霊芝シイタケグルカンなどに分類される。そのうち、酵母グルカンの生物活性はレンチナン、エノキマッシュルーム多糖、およびカワラタケのグルカンの活性よりはるかに優れている(酵母に対する免疫防御システムはヒトの進化過程で確立され、そして生来の免疫細胞には酵母グルカンと結合するCR3受容体がある)。人体免疫力、抗腫瘍、抗放射線、抗炎症、創傷治癒の促進、血中脂肪減少、血糖減少、抗老化などにおけるβ-グルカンの役割が次々と発見され、世界中で注目を浴びている。近年、β-グルカンは既に医療、食品、パーソナルケア製品の分野で広く使用されていた。

酵母は微生物の中で比較的に早い時期から人間に運用され、最も広く使われている微生物の一つで、その発酵作用はよく様々な発酵食品やワインの製造に利用されている。同時に、酵母は多種多様な生物活性を持つ治療薬で、にきび、抗菌および抗炎症のハーブの治療薬として、ドイツE委員会(German Commission E)の書かれたモノグラフ(ドイツ法定ハーブ 薬局方)に収録されている。酵母壁のβ-グルカンは、酵母が抗菌作用や抗炎症作用を発揮するための重要な成分である。

酵母グルカンは1-3、1-6で結合されたグルコース多糖で、酵母細胞壁にのみ存在する。β-(1,3)-(1,6)結合は一定の割合で分布しており、この仕組では水に溶解することは極めて困難である。化学修飾による特別な化学基の導入は、水不溶性ポリマーを増加させる一般的な手段である。化学修飾の製造加工技術は複雑で、大量の有機溶媒を使用する必要があり、製品の安全性は比較的低く、環境にも悪い。さらに、酵母β-1,3-D-グルカンのカルボキシメチル化は製品の水溶性の改善の他にも、分子の三次元構造や生物学的機能に影響を及ぼす。カルボキシメチル化置換度が75%を超える場合、生物学的機能の喪失が始まる。そして、酵母β-1,3-D-グルカン分子の完全な置換はその生物学的機能を完全に喪失させてしまう。

シャペロン(molecular chaperones)技術によって開発された水溶性天然グルカンは、化学修飾酵母グルカンの欠点を補い、グルカン溶解度の問題を解決し、そしてその三次元構造および生物学的活性を完全に保持していて、カルボキシメチルグルカンおよびエンバクグルカンと同じくらい使いやすく、しかもより高い生物学的活性を有している。

βグルカン構造図

酵母β-グルカンの作用のメカニズム

酵母グルカンは天然免疫細胞表面のCR3受容体と結合する


酵母グルカンの生物学的活性の作用の概略図

皮膚は人体にとって非常に重要な防御システムであり、人体と外界を隔離する天然バリアで、代謝と免疫反応の機能も備わっている。表皮において、皮膚の免疫システムは、形質細胞、ランゲルハンス細胞(Langerhans Cells)およびケラチノサイトを含む。その中で、ランゲルハンス細胞は近年、皮膚内のマクロファージと非常に特別な関係を有することが確認され、皮膚免疫において極めて重要な役割を果たしている。皮膚の角質層にはランゲルハンス細胞からなる免疫ネットワークがたくさんある。ランゲルハンス細胞は樹状細胞であり、その突起は酵母βグルカン受容体CR3のある角質層細胞に到達することができる。グルカンは、受容体と結合し、一連の立体化学変化を引き起こすことで、マクロファージを活性化し、様々なサイトカイン(IL-1、IL-6、GM-CSFなど)、ヒトオリゴペプチド(EGF)、腫瘍壊死因子(TNF-α)、血管新生因子(AF)などを生成する。老化肌またはシワのある皮膚でのヒトオリゴペプチドの増加は、コラーゲンとエラスチンの生成を促進することで、肌の見た目を改善し、小シワを解消することができる。

また、研究によると、紫外線照射が皮膚内のランゲルハンス細胞を阻害する。肌が日光に長時間さらされると、ランゲルハンス細胞の数は大幅に減少し、活性は低下し、皮膚の防御免疫力は弱まる。そして、日焼け止めと痛み・炎症軽減効果のほか、β-グルカンはランゲルハンス細胞の増殖を促進し、皮膚の免疫力を高めることもできる。さらに、臨床研究によると、酵母グルカンは消炎、抗アレルギー、フリーラジカル消去、保湿、角質層ターンオーバー促進効果を持ち、様々な外因性機械的・化学的刺激から肌を守り、創傷治癒を促進することに役立つ。酵母グルカンがフルーツ酸など刺激性のある活性成分によるアトピー性皮膚炎を大きく軽減することも実験によって証明されている。

化粧品における酵母β-グルカンの応用

水溶性天然β-グルカンは天然由来の原料であり、毒性も刺激性もない。β-グルカン溶液は、化粧品に加えると、刺激を軽減し、突っ張った肌のターンオーバーと修復をサポートし、肌のシワを効果的に減らし、肌の潤い・ハリ・滑らかさを向上させ、瘢痕の治癒と再生を促進し、白くてキレイな肌に導き、アトピー性皮膚炎を治療することができ、シワ取り・アンチエイジング製品、日焼け止め・日焼け肌修復用製品、敏感肌用製品などの高級化粧品に幅広く活用できる。

配合方法指導

溶 解 性:本製品は水に溶けやすい 
推奨投与量:製品投与量は1-10%、化粧品生産の最終段階で60℃以下での添加がおすすめ、幅広い化粧品成分に溶ける。

天然酵母グルカンとカルボキシメチルグルカンの構造および13C核磁気データ(ppm)

豚のケラチノサイトの成長を促進する酵母グルカン

 
マクロファージ炎症性タンパク質-2の生成を誘導する酵母グルカン

UV照射に対する酵母グルカンの保護効果

グルカン製剤を添加することでラウリル硫酸ナトリウムによるヒト皮膚の湿度低下に対する保護効果

グルカン製剤を添加することでヒト皮膚のスクアレン過酸化に対する防止効果

グルカンの赤み治療効果

グルカンの赤ニキビ治療効果